電気街の足跡
~秋葉原の電気的アート~


 電気、電機、電器…かつて秋葉原は、そのエリアの大部分が電気製品を取り扱う店でした。小さな電子部品から大きな冷蔵庫やエアコンまで、多種多様な商品が所狭しと並べられていたのです…。『ここは電気街。』そんな街としての雰囲気や駅の目印として、数々のイラストなどがありました。




家電タイル

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日比谷線壁画へ移動


■中央通りのイラスト入りタイル■

 秋葉原のメインストリートである中央通りには2011年の9月までイラストが描かれたタイルが歩道に埋め込まれていました。万世橋交差点から外神田五丁目交差点(通称:末広町交差点)までの間、東側と西側の歩道にあったイラスト入りタイル(通称:家電タイル ※1)を紹介します。

この歩道が整備されたのは平成7年3月らしい。千代田区によると平成2年に秋葉原駅南通りとして長さ370m・面積1,962㎡の歩道が整備されている。使用された部材にはインターロッキングブロック・タイル張りとあり秋葉原駅南通り整備協議会が協定相手になっている。

また、平成6年に秋葉原駅西口周辺道路として長さ432m・面積1,672㎡の歩道が整備されている。使用された部材にはインターロッキングブロック・磁器質タイルとあり秋葉原駅西口商店振興組合が協定相手になっている。




中央通り東側(秋葉原駅側)


映写機

パソコン

乾電池


FAX

カラーテレビ

ドライヤー


初期の電話機

アイロン

ロボット

タイルのみの写真

丸い電球 UHF白黒テレビ ミキサー

コンセント

炊飯器

タイル撤去済み


中央通り西側(御茶ノ水側)


ヘッドホン

洗濯機

丸型蛍光灯


蓄音機

白熱電球

ロボット


家電タイルギャラリー


真空管

初期の電話機

ヘッドホン

真空管

初期の電話機


家電タイル撤去へ

下にある2010年の写真を見ると路面の凹凸が非常に多くなってる事が分かる。各種上下水道工事のほか、中央通りは無電柱化もされてるので電気工事も多かったであろう。人通りも多く痛みも早い。経年劣化により美観も損なわれていたとは思う。

歩道のリニューアル工事は2010年頃よりスタート。中央通り西側(お茶の水駅側)の万世橋交差点側から先行して作業が進んだ。秋葉原駅側の中央通りも万世橋交差点のアキハバラギーゴ(GiGO)前から作業が始まり、ラジオセンター前が施工されたのは3月3日の雛祭りの日だった。

また、東関東大震災の影響で全体的に作業が遅れたとの事。

2011年3月にはアーツ千代田3331のギャラリー内でロボットのタイルが展示された。アキバロボット(※2)との呼称もある。他のタイルは展示されなかった。その後は廃棄されること無く千代田区が保管しているそうである。



愛三電機前
(2011年)

かなり凸凹していた(2010年)

末広町駅付近
(2011年)

この展示の時点(2011年3月)では末広町駅付近のロボットのタイルは路面にあったので展示の物は秋葉原駅前のもの。




各所の歩道がリニューアルされてる様子。

ザ・コンがあった

パセラ前

アイランドとエヴァンゲリオン

2011年9月26日未明にタイルの最後の1枚(4枚あったロボットのタイルうち構雄造商店の前にあったもの)が撤去された。






※1:「家電タイル」は、独自の視点で早くから秋葉原を記録していた、けけえす氏が付けた呼称であるが、とても的確で他のサイトでも一般的に使われるようになった。

※2:けけえす氏によるとロボットのイラストタイルについては「アキバロボット」と言う呼称もあったそうだが、正式名称は無いようだ。








■帝都高速度交通営団の電気的アート■

地下鉄の東京メトロは2004年まで帝都高速度交通営団でした。銀座線の末広町駅には電気街秋葉原に着いたと一目でわかるようなイラストがあり、長く人々に愛されていたようです。2016年末に駅のリニューアル工事の為に姿を消しましたが、何枚かの写真をここに掲載します。




 この壁画はいつ頃からあったのでしょうか。まずはキーボードとパソコンに着目して検証してみよう。キーボードには「GRPH」と書かれたキーがある。これはNEC(日本電気)のPC-8001に搭載されているキーボードからの表記だ(※3) またファンクションキー「f・1」は「3」の上から始まり「f・5」が「へ」のキーまでの5個。「X」キーの真下に「TAB」キーがある。左端のキーは全て揃って並んでいる。左端のキーは下から「SHIFT」「SFTLOCK」「GRPH」「カナ」である。これらの特徴に似ている機種を探してみると以下の2機種が候補になった。ファンクションキーの配列はNEC PC-8001に酷似している。それ以外のデザインはSHARP MZ-2000の方を参考にしたと思われる。「X」キー真下の「TAB」や左端が揃ったキー配置「SHIFT・SFTLOCK・GRPH・カナ」の4セットは全く壁画と同じだ。

1979年9月(昭和54年) NEC PC-8001 (希望小売価格 168,000円 税無し)
1982年(昭和57年) SHARP MZ-2000 (標準価格 218,000円 税無し)

モニター・本体・キーボードは一体型に見える。PC-8001は分離型だがMZ-2000は一体型だ。また、モニターは傾斜しておりブラウン管表面の後ろに段差がある。キーボードの後ろが一段上がっている。これらの特徴は全てMZ-2000と合致する。パソコンに関しては、MZ-2000をベースにファンクションキーだけを変更したと言って間違いないだろう(※4)

 またウォークマンはSONYのWM-20という機種に酷似しており発売は1983年(昭和58年)である(標準価格27,000円 税無し・単三電池1本・電池込みで180g・メタルテープ可・ヘッドホン付属)

 家庭用とは思えない大型のビデオカメラはCanonのVC-10という機種に酷似しており、1982年(昭和57年)4月に発売。ハンドル部のスイッチやファインダー周りの造形、伸びるマイクなどが一致している(当時の価格 238,000円 税無し)ちなみにこのビデオカメラ単体では録画が出来ない。レンズからの光やマイクからの音を電気信号に変えるだけで、記録はフルサイズのVHSテープを入れる「ポータブルビデオレコーダーVR-10」なる機器が必要だった。(当然カメラとレコーダーは有線接続でコードの処理が面倒。またカメラ側から録画の開始や停止は制御できた)

いずれの製品も1980年代前半に集中しており、少なくともこれらの製品の発売よりも後に描かれたと思われる。またTwitterにはイラスト原画が投稿されている



※3:PC-6001にも同様のキーがあるが「GRAPH」で「A」が多い。
※4:MZ-80Bも類似したデザインだがモニター後ろの段差やキーボード後ろの段差部分に差異がある。また「カナ」キーの部分が「RVS」キーと違いがある(機能は同じ)

写真ギャラリー

2012年撮影

前は透明樹脂カバーで覆われていた

透明樹脂カバーの補修部

2015年撮影:カバーが撤去されてる







パノラマ写真

上野広小路行き(浅草方面)ホーム

神田行き(銀座方面)ホーム






■日比谷線の電気的アート■

 日比谷線秋葉原駅のホームには、北千住方面行きにも目黒方面行きにも多数の同じ壁画がある。こちらは何時から存在するか分からないが、描かれてるパソコンはフロッピーディスクドライブが縦に2台搭載されており、幅も比較的狭い事から3.5インチタイプと仮定する。こういったデザインのパソコンは1980年代でも後半から登場したので、それ以後に壁画も設置されたのではないか。


写真ギャラリー

秋葉原駅は昭和37年5月31日開業

ここは千代田区で唯一の駅。

発車メロディーは2016年からAKB48

オノデン坊やと。